このページでは、適当なことを適当に書いていきたいと思っております。「?コラム」と題しましたのは、コラムと呼ぶにはいささか大袈裟かと思われるからでございます。
 時には、訳の分からないことも記してしまうかも知れませんが、宜しくお付き合い頂ければ、幸いでございます。

(なお、更新は不定期です。ご理解の程よろしくお願い致します)

「?コラム」は、筆者の個人的思考によるものであり、
弊社(廣瀬養鯉場)を代表する見解ではありません。



第7回・中国産

 2004年から、中国産の鯉が輸入されるようになりました。以前はKHVなどの防疫の観点から制限・禁止されていたのですが、いつの間にか農水省は輸入を認めています。
(2003年にKHVの感染が判明しましたが、その年の判明以前に農水省は輸入規制を強化していました。また、それ以前も規制がされておりましたが、いわゆる「ザル」であり、個人的には万が一の際の言い訳のための規制でしかなかったように思えてなりません)

 ところで最近、中国産の食物や同国で生産された商品から、人体に影響を及ぼすような薬物等が使われているなどと報道されることが多くなっています。農作物や水産物、ドックフードから玩具まで。中国政府としても非難は浴びたくないでしょうから、規制や監視を強めているようですが、世界一の人口を有し広大な面積を誇る国ですので、細部まで目を光らせるには、まだまだ時間を要するでしょう。倫理・道徳の問題が一番大きいとは思いますが。

 では、中国産の鯉に問題はないのか。実は、嫌な噂があります。正確な情報がないので、話をしてよいものか私自身が不明ですが・・・日本に入ってくる際に検疫がなされていないとのことです。
 なぜ、検疫がされないのか。聞いた話で真偽は分かりませんが、2つの話があります。
 一つは、中国側の圧力に日本が屈したというもの。もう一つは、検疫には、それなりの日数を必要とするため鯉が痩せてしまうからというもの(鯉は活きたまま輸入されます)。
 なるほど、納得出来る話です。「検疫にかかる日数分、船は他の仕事が出来ない⇒効率が悪くなる⇒コストがかかる⇒鯉の価格が上がる。」痩せてしまった上に高価だとなれば、誰も買いません。だから、圧力が必要になる。

 加工業者がこれらの話を知らないはずがありません。なのに彼らが中国産を使うのは、単に価格が安いからというだけであり、質や安全性を二の次にしているからでしょう。もちろん、利益の追求は必要ですが・・・。
 危険な薬品・薬物が使われている可能性があるものを、平気で使える神経を疑ってしまうのは私だけではないはずです。
            (国内産は薬事法などで、厳しい規制がなされています)

 ちなみに、中国では、春ウィルスという鯉の病気の発生が確認されています。これはKHV以上に強力で、致死率は90%を確実に超えると聞いています。また、コイ科の全般に感染するとのことです。金魚や鮒がそうです。
               
(日本では感染は確認されていません)
 日本の生態系はどうなるのでしょうか。琵琶湖の鮒寿司が食べられなくなるのも、時間の問題になってしまうのかも知れません。
〇七年六月十八日



第6回・郡山の鯉

 福島県郡山市は、鯉の名産地の一つです。このことは「郡山と鯉」のページでも、お分かり頂けると思います。佐久鯉の産地である長野県、米沢鯉の産地の山形県よりも、郡山市の方が養殖量は多いのです。

 行政当局も多少は配慮してくれているらしく、一応特産品という扱いをしてくれています。福島県の特産品のページでは『2001年全国料理振興会の水産農林大臣賞に選ばれるなど「全国でトップクラスの味」と絶賛される郡山の鯉。猪苗代湖のきれいな水で育てるため、特有の泥臭さが感じられません。また肉質・増重量を考えた独自のエサを与えて、脂が程良い身の締まった鯉をつくっています。タンパク質・ビタミンが豊富で、最近では学校給食にも登場。最も美味とされる旬は12月〜2月です。』と紹介されています。

 しかし、残念ながら上記は宣伝文句に過ぎません。「2001年全国料理振興会の水産農林大臣賞に選ばれる」は「全国養鯉振興会」の誤りであり(入力間違いと思いますが)、「水産農林大臣賞に選ばれる」も「農林水産大臣賞に選んだ」が正確でしょう。

 「猪苗代湖のきれいな水で育てるため、特有の泥臭さが感じられません」とあるのも少々可笑しい所です。確かに猪苗代湖の水を引いておりますが、養殖池の水はきれいではありません。と申しますのも、鯉は元来、濁った水質環境を好みます。業者は、鯉本来の生態に合わせて、敢えてそのような水質を整えるのです。
 ですから養殖池から水揚げしたばかりの鯉は、泥臭かったり餌臭さがあります。その臭いを抜くため、きれいな水の蓄用池に3〜10日程入れておき出荷となるのです。

 次に『「全国でトップクラスの味」と絶賛される郡山の鯉。』と『肉質・増重量を考えた独自のエサを与えて、脂が程良い身の締まった鯉をつくっています。』について。
 良い鯉(食べて美味しい鯉)を育てるのには、麦や蛹(独自のエサとはこのことでしょうか?)を与えることが不可欠ですが、与えている業者がどれ程あるのか不明です。私の知る限り、その両方を与えている業者は、市内では弊社以外にありません。全国規模で考えても、現在では存在しないように思います。
 (「麦・蛹を与えて育てています」という鯉屋さんがあれば、それは間違いなく嘘を仰っています)
 配合飼料は栄養のバランスに優れ、現代では鯉の成長に無くてはならないものの、それだけではいけません。人間で考えてみてください。総合栄養食品だけを食べて生活している人が、果たして健康と言えるでしょうか。
 配合飼料だけでなく、麦や蛹、パン、そして濁った水中の微生物などを食べて、はじめて良い鯉が育つのではないでしょうか。

 なお、「学校給食にも登場」とのことですが・・・登場しただけです。

 肉でも野菜でも、農家によって質が違うことは、皆様お分かりかと思います。そしてそれは、郡山の鯉も同様なのです。
〇六年九月十一日



第5回・鯉の旬、見分け方

 つい先日、このコラムを見て、あることに気が付いたのです。最初に書かなければならない、「鯉の旬・美味しい鯉の見分け方」が無い・・・と。我ながら恥ずかしい限りでございます。私にとっては毎日のように扱っている為、そのようなことは当たり前なのですが、一般の方々には全く分からないことでしょう。申し訳なく存じます。

 鯉の旬、それは2歳の12月〜3歳の1月位でしょう。
 鯉は冬越えにむけて脂肪を蓄えます。そのため冬の鯉は脂がのっているのです。また、2歳〜年明けの3歳は、まだ大人には成長しておらず、骨や鱗は柔らかく、且つ真子(卵)・白子に栄養を取られることがないからです。3歳の2月になると、餌を摂取していない為、徐々に脂肪が減ってきます。そして春過ぎになると、真子・白子が成熟してきます。
 余談になりますが、御客様の中には「雌が良い」とか「卵がうまい」とおっしゃられる方がいらっしゃいます。イクラや数の子・からすみ等の例から、鯉の卵も美味しいと思われているようですが、私は誤解されていると思います。調理法にもよるのでしょうが、上記に挙げたものには足元にも及びません。鯉の食文化の歴史は古く、もし卵が美味しければ先人達が必ず美味しい調理法を発見していたはずです。妙な思い込みは捨て、御自身の舌で確かめて頂きたいと思います。(通な方は白子を好むようです)

 見分け方は、基本的に丸々としているのが良いのですが、もう少し記したいと思います。

 第一に、横から見て、「胴が長くない・短い」鯉が良物です。業者間でいう「寸足らず」です。上記の「鯉の旬」とも関係があるのですが・・・。
 実は、餌を充分に与えた年明けの3歳ぐらいまでが、このような形をしています。ですから、冬場に鯉をお求めの際は、注目してみると面白いと思います。横に伸びた形になっていれば、その鯉は3歳以上か、餌を充分に食べることが出来ていないものです。

 第二に、持ってみて「背肉があり、丸々としている」方が良い鯉です。
 我々は普段、御客様に鯉を選んで頂いておりますが、多くの方が「お任せします」とおっしゃられます。その折、我々は実際に鯉を触って選びますが、触ることにより背肉のあるなし、丸々と肥えているかを判別しているのです。
 ただ、御客様自身で鯉を持って判断するというのは、多々難しいこともあると思われますので、鯉を上から御覧になってください。幅があるものをお選びになれば、ほぼ間違いないでしょう。
但し、鯉の種類・親鯉からの遺伝にも因りますので、以上は絶対的なものではありません事を、御了承頂きたく存じます。

 尚、これは御客様の御都合にもよるものですが、鯉の大きさは「1.2kg〜2.0kg前後」でお選びになられると良いかと考えます。小さ過ぎても食べにくいでしょうし、大き過ぎても大味になってしまう嫌いがあります。
 もう一言言わせて頂きますと、1.5kg位が万能と思いますが、御客様の調理法等により応じてくだされば最良と存じます。
〇六年三月二十四日




第4回・KHV病の風評被害について

 先日、弊社のホームページのトップページより、KHVの情報が削除されたことは、皆様お気付きと思います。と申しますのも、KHV病が発生していない業者も、さも発生したかのように、ひとくくりに報道されているからでございます。食しても人体に影響がないので、報道しなくても良いと思いますが・・・。
 報道されればされるほど、風評被害は大きくなります。「食べても人体に影響はありません」という文言は、何の意味もございません。報道関係者の中には「風評被害が心配されます」などと申される方もおられますが、自身が加害者に近い地位にいることの自覚は、全くお見受け出来ませんでした。
 
 県に、そしてKHVを持ち込んだ業者に対しても不満は多々ございます。ですが、申しましたところで、何もせず、出来ずでございます。呆れております。
 我々は、我々で出来る限りのことをするだけです。

 風評被害の一番の特効薬は、やはり「時」でございましょう。「時」は人間に忘却を与えてくれます。業者としては、忘れ去られるのを待つしかないと思っております。

 ところが、報道が下火になってきた折、郡山市議会環境経済常任委員会の呼びかけで「郡山の鯉を食す会」が催され、郡山市長や商工会議所副会長らが鯉料理を食べたと報じられました。
 個人的見解を申せば、余計な事をして頂いたものです。漸く、電波や紙面から消えたかと思っていたところに行われました。「郡山の鯉は美味しい」と訴えられても、逆効果でございましょう。
 郡山市の御偉方が、単に郡山の鯉を宣伝しようと考えたとしたら、何と無思慮なことでしょう。それとも・・・。いずれにせよ、浅薄な行動はして頂かなくて結構でございます。

 実は、この「第4回」の公表を遅らせたのは、時が経ち、皆様に冷静な視点でお読み頂ければと愚考した為、また、「第4回」の内容を変更した点に関しましては、全てを暴露してしまうと、また各報道機関が養殖業者を十把一からげに扱うのではないかとの懸念が生じた為でございます。御理解頂きますよう御願い申し上げます。

 最後になりましたが、この度の福島県内でのKHV病の発生につきまして、多くの御客様より御心配の御心を頂戴していることを大変有難く感じております。さらに、政治家の方々、内水面水産試験場や一部の県・市の職員の皆様には、多大なる御協力を頂いております事、御礼申し上げます。誠に感謝の念に絶えません。
〇五年八月二十八日
 追記:上記「郡山の鯉を食す会」の開催を呼びかけたとされる方は、直前までその会が催されることを知らなかったとのことです。詳細は申せませんが真実でしょう。




第3回・KHVワクチンについて

 『先日、三重大学のグループが、コイヘルペスウィルス病に効果のある経口ワクチンを開発したと発表しました。これを受けて、一部の鯉加工業者は「真鯉・錦鯉の生産者及び鯉料理を作る後継者が救われます」などと期待を寄せているようですが、随分と無知な話だなぁと思います。
 今後は、農水省等の許可を得て、産学連携でベンチャー企業を設立し、製造・販売を事業化する計画らしいですが、どうなるでしょう。詳しいことは分からない段階であり、今後を見守るしかありません。

 さて、上で一部の加工業者を罵ったからには、このワクチンに何か問題があるのだろうと一般の方は思われるでしょう。実に、であります。
 最大の問題は、「13匹中10匹が生き残り効果が確認できた」という点です。裏から言えば、「13尾中3尾は死ぬ」のです。単純に23%は死ぬ。
 かの霞ヶ浦の大量死以前の、同地を中心に全国最大の生産地であった茨城県で考えてみると、年間漁獲量約5000トンのうち、1150トンは死ぬ計算になります。これは、また大量死でしょう。

補足1: 一部報道では、「ウイルスに感染しても約90%のコイが生き残り、与えなかった場合の約10%より生存率が大幅に上昇した」ともありますが、具体的な数が示されてないため、使用しませんでした。
それでも、茨城県では500トンが死ぬ計算になりますが。

補足2: 霞ヶ浦・北浦でKHV病が発生した当時、全ての鯉が死んだわけではありません。相当数(半数以上とも・・・)生き残り、長野県・山形県を中心に出荷されました。
なお、当時の話も・・・。

 幸い福島県の養殖業者の鯉は、KHVに感染していません。が、感染してもワクチンで生き残った鯉がそこに入ってきたらどうなるか。全国にウィルスを撒き散らすことにならないか。天然水系(河川・湖沼)はどうするのか。移動制限や処分を解除するのか。研究・行政・立法上も様々な問題があるのです。

 消費者心理も大きいものです。弊社には今でも、「病気は大丈夫ですか?」という問い合わせがあります。KHVが、いくら人体に影響が無いといっても、気持ちの良いものではありません。
 「ワクチンを使用していますから大丈夫です」ということも、同じでしょう。ウィルスに感染しても、ワクチンを使用しているから死なないだけで、感染している鯉は感染しているのです。
 そのような鯉を、果たして買って頂けるでしょうか。鯉のあらいを食べたいと思いますか。

 いささかでも光が見えたことは良いのかも知れません。しかし、大喜びするのは時期尚早が過ぎます。無才・無学の私でさえ鯉に携わる者として、この程度は分かります。
 一般の方ならいざ知らず、鯉加工業者が分からないとは、恥ずかしいと思わないのでしょうか。鯉の専門家気取も甚だしい。即刻、鯉屋の看板を下ろすべきです。

 と、今回は、大変横柄な物の云い方をして参りましたが、ある意味、本音でございます。何も御存じない・なさったこともない方が、専門家として表に出て参ることに、怒りが込み上げたのでございます。
 お読み頂いた一般の方々に、不愉快な思いをさせてしまいましたなら、最後にお詫び申し上げます。
〇五年四月二十九日




第2回・鯉のうま煮について

 このホームページを作りましてから、早3年程になりました。ですが、まだまだ鯉の加工について御存知でない方が多いようでございます。日々精進せねばならぬと思い続けたいのですが、どうも忘れがちでございます。

 さて今回は、「うま煮」の話でございます。
 「鯉の加工」でも簡単に紹介してございますが、切身の血は洗ってはいけません。鯉の血は、鯉独特の味を引き出してくれます。その上、大変栄養価の高いものです。
 機会があれば、一度やってみて頂くと良くお分かりになられるかと存じます。洗ってしまいますと、何か一味足りません。

 タレも使いまわしは止めて頂きたいものです。ご家庭では使いまわす程、毎日うま煮を煮ることはないでしょうが、ほとんどの加工業者はしてしまうのです。無論、コストの問題でしょう。
 タレを使いまわすと、黒く・臭くなります。この原因は、実は血なのです。血を洗わずに煮ますと、血で汚れます。使いきりであれば、程良い出汁になるのですが、二度以上使うと嫌味・臭気が出てくるのです。かと申して、血を洗うのも前述の通りでございます。
 ちなみに、注ぎ足しも同様でして、鯉の味が台無しでございます。

 そうそう、鱗を取るのも出来ればお止め頂いたほうが宜しいでしょう。鱗を取るということは、その部分の旨味(ゼラチン等)も取ってしまうということなのです。
 このようなことを書きますと、「お前のところでもウロコなしのうま煮を売っているだろ」とのご批判を頂戴しそうでございますが、弊社では、取った鱗を出来るだけ集め、出汁漉し袋に入れて、切身と一緒に煮ることにしております。
 しかしながら、やはり味は、鱗を取らない方が上でございます。

 商売上は、「血を洗い、タレを使いまわしております」と申した方が、一般的に聞こえは良いでしょう。また、鱗も取った方が食べ易いというのも、事実かも知れません。
けれども加工業者は、利益ばかり追求をせず、真実をはっきり伝える必要があると存じます。
 なお、ご家庭でなさる場合は、お好みで宜しいでしょう。この話は、ご参考ということで・・・。
〇五年三月十七日




第1回・水田養鯉(稲田養鯉)について

 近頃、水田で鯉をお飼いになる方が多くなっております。鯉ではなく、鴨などを水田に放す方もいらっしゃるようです。有機農法というのでしょうか、私は詳しくありませんが、農薬の代わりに鯉や鴨で雑草を除去しようということは、大変結構なことと存じます。弊社でも、宮城県・山形県・秋田県などから問い合わせがありまして、小さな鯉を出荷したことがございます。

 ところで、この水田養鯉(稲田養鯉とも云うらしいですね)、私には若干違和感を感じざるを得ないのでございます。と申しますのも、本来、稲作が主であり養鯉は従でありましょう。ところが「水田養鯉」(稲田養鯉)という言葉ですと、さも養鯉が主と云わんばかりでございましょう。

 そもそも、水田での鯉の養殖は無理が生じます。鯉を放せる期間は短いでしょうし、美味しい鯉にする為の餌をどれだけ与えられるか不明でしょう。与え過ぎては雑草の除去がままならず、与えなさ過ぎても育たないでしょう。
 大きく成長させることも辛いでしょう。水深を深くしても、せいぜい1kg前後までしか成長しないのではないでしょうか。正直に申しまして厳しいことと思われます。

 話が逸れてしまいました。
 私見で云わせて頂きますと「鯉飼稲作」などの言葉のほうが、誤解が少ないように思われるのですが、如何でしょう。今更ながら言葉の難しさを痛感致します。

 さて、弊社と致しましても、水田養殖を応援できるような体制を徐々に整えて参りたいと考えております。ですが全国的な鯉不足の為、増産してもその余裕がないのが実情でございます。
 なお、水田養鯉で育てられた鯉は、自家用として御賞味頂くのが宜しいかと思われます。人に差し上げたり、売ったりできる程の美味しい鯉は育たないと思われるからです。調理法としては充分に泥を吐かせた後、鯉こくや味噌漬けなど、お味噌で調理してお召し上がり頂くと結構かと存じます。
〇五年三月三日


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